「マクザムさんへの質問」

大幇会前日の2006/12/1に訪問させていただきましたマクザムさんでの話題を書くことにいたします。
今回は「マクザムさんへの質問」と題しまして、マクザムの柳川さんと佐藤さんにお話を伺いました。
なお、掲載します内容は、オフレコの部分や内容がかぶるところについては実際の会話とは多少変えてありますのでご推察ください。

・武侠作品を扱うきっかけはなんだったのですか? ・どうやってドラマなどを買い付けてくるの? ・ドラマの1作品のお値段は?
・射雕英雄傳の今後の販売戦略は? ・武侠作品を扱ってきて一番大変だったことは? ・香港映画などは今後扱う予定は?
・もしこんな作品があったら扱ってみたいものは? ・古い作品を発売する可能性はありますか?

「柳」=柳川さん「佐」=佐藤さん、「八」=八雲

武侠作品を扱うきっかけはなんだったのですか?
「柳」香港映画のカンフーものとかから徐々には慣れてきていたのですけど、本当の武侠というのは射雕英雄伝を買い付けたことですね。
 射雕英雄伝との出会いから金庸の原作を読み始めて。

「八」(金庸などの武侠物の)ドラマを扱おうと探していたというわけではなく?
「柳」ではなく。まあ風雲とかグリーンディスティニー電視版なんかは出していたので、その流れでうちは中国のテレビシリーズを扱う会社ということで、
 あちこちルートができていたんですね。
 それで知り合いの方から「すごくいいドラマがあるから見てごらん」と言われて、見たらすごくよかった。
 やっぱり作品を何を出すかって選ぶときに全話見るわけにはいかないじゃないですか、40話もあったりすると。
 その知識を得るためにはインターネットで調べたり、原作が出ていたら原作を見ちゃうほうが手っ取り早いので、ストーリーが面白ければ。
 だいたい絵は1話分見ればどんなクオリティかわかりますけど、ストーリーというのは本当は全話見なけりゃわかんない、でも原作見ればだいたいわかりますから、
 ということで本を読み始めたらすごく面白くて、もう個人的にはまっちゃったって感じです。

「八」じゃあ個人的に絶対出すって決定した感じですか(笑)
「柳」うんうん、そうですね。インターネットとかで調べると(金庸先生は)中国でいわば国宝級じゃないですか。なんどもうちでコピーでつかっていますけど。
 中国ってこれからすごく注目される国だし、仲良くしていきたい国だし、4000年の歴史というくらい深いじゃないですか。日本にもいっぱい影響をあたえているし。
 そこの国で、国民みんなが見てるみたいな、楽しんでるし何度も映画化ドラマ化しているエンターテインメントていうんだったら、
 絶対日本にもゆくゆくは受け入れられるはずなので、これなら日本に入ってきていないほうがおかしいなと思ったんですよ。
 で、どこかがやるのであれば、常々テレビシリーズを扱っているうちがやるべきだと、で、ノーカットでやるべきだと、初めて(笑)
 それで吹き替えはね、ちょっと勇気を出しちゃいましたって感じなんですけど、ボスをあの手この手で説得しつつなんとか吹き替えまでつけることができまして、
 中国語の字幕もつけちゃいましたね(笑)

「八」そのお蔭で、あの射雕でファンになった人がいっぱいいますね。
「柳」そうですね、お蔭様で。私みたいな人が多かったと思ってよかったーって(笑)皆さん仲間っていう感じです。


どうやってドラマなどを買い付けてくるの?
「柳」それはですね、テレビ番組のマーケットもあるんですけどカンヌみたいな感じで。
 それで見つける場合もありますし、 割と長く中華ものをやっていると、いろんなところからお話をいただきます。
 製作会社から直だったり、射雕の会社とかは続けて買っているので、 新しいのが出来るたびに送ってくれますね。
 あとはケースバイケースですね。日本の方が紹介してくれる場合もあるし、お付き合いがある所やお付き合いがある所から私の名前を聞いて
 突然メールとか送ってくる場合もあります。
 常にアンテナは立てていますね。あとネットとかで記事が出て面白そうだなと思うと、知り合いの中国人の人に電話して、これ見たいから見つけてっていったりもします。


ドラマの1作品のお値段は?
「柳」それはねえ、ぴんきりなんですよ。古い作品だと、うーんと1000USドルくらいからありますし。
 例えば韓流ドラマとかだと1本500万円とか、1話。

「八」1話が500万!
「柳」韓流だとね、とかもあるんですよ。そこまでじゃないですけど、結構高めのやつもあります。
 中国のは韓流ほどには(値段は)いきません。ただ最近結構スターが出てきているじゃないですかドラマに。
 例えばバリー・ウォンがプロデュースしているものとかだと、香港の映画人は日本では割と高く売れるってわかっているから、最初の提案金額は相当高かったりします。

「八」香港ものが値が張りますか。
「柳」うーん、いややはり作品によりますね。F4がブレイクした時には、台湾ドラマが根こそぎ上がっちゃったんです。台湾のアイドル恋愛ドラマね。
 うちはもちろんそういうの興味ないんで傍観していたんですけど、そういう(アイドルが出ているというだけの)台湾のドラマでも1話1万ドルくらいついちゃったりして、
 でも買ってた会社もあるんで。今年に入っていろんなメーカーが出したんですがあまり売れないじゃないですか当然。F4だけが人気なわけだから。
 それでみんな今度は台湾のドラマ買わなくなっちゃったんですね。それで何を探しているかというと、なんか武侠がそこそこ売れているらしいとか、
 歴史ドラマが大作感があっていいらしいってなると中国の物を探しているんですが、韓流の知識でいくのでもともと高いと思っていってるわけですよ。
 だから向こうが吹っかけてきても、そんくらいで買えるならそれでいいよ、安いじゃんみたいな感覚で買っちゃったりする。となると(相場が)高いので定着してしまう。
 うちはいつもマーケットいくと、日本じゃそんなに売れないんだから安くして安くしてっていって買ってます。

「八」ちなみにF4がでる楚留香は…。
「柳」すごく評判悪いですね、中国では。
「八」それでも売るとなると高値でしょうね。それはともかく、便乗して楚留香の小説を復刊か新しく出してくれるといいなあ。


射雕英雄傳の今後の販売戦略は?
「八」ある方の質問なんですが、マクザムさんの出している武侠ドラマはどれもクオリティが高くて満足していますが、
 とくに射雕が面白いのでもっと一般にも広がらないともったいな いと。そこでさらに売り出す戦略などはありませんか?
「柳」そうですねえ。いや本当はね、一番日本で大きなN○Kとかでやってもらうのがいいんですけど、NECOさんの(契約)は終わったんで、うーん。
 そうですね、ただお蔭様でじょじょに金庸先生の作品とかドラマとか、一連の神雕(侠侶)までつながっているもので、知名度が格段に上がっているんですよ。
 射雕のときの最初の売り上げが、それどうするのって青くなるぐらいだったんでが、NECOさんで放映してくださってから、がんと(売り上げが)上がりました。
 天龍八部はまだまだなんですけど。 神雕侠侶はどうかというと、初回から射雕の3倍あったので知名度的には浸透してるのですよね。
 じゃあこれからどうするのかというと、もちろん金庸先生の一連のシリーズはやっていきたいですが、それだけでは頭打ちになってしまうのでどうしようかと話し合っていて、
 古龍にいくのかどうするのかと。
 だから射雕をこれから展開するというのは、まあできれば展開したいですけどいくら積極的にやっても有効な策がないと宣伝費の無駄遣いになってしまいますし、
 逆に皆さんにお知恵を拝借したい感じですね。

「八」どこか大手の偉いさんが気に入ってくれないですかね(苦笑)
「柳」そうですね。ブレイクするにはなにかのマジックがかからないとダメだと思うんですよ。
「八」有名人の中には武侠好きな人もいると思うので、ブログとかで書いてくれないものかなあ。
「柳」某アイドルの一言でマイナーなジャンルの映画が大ヒットしたりしますからね。
「八」今回の大幇会に参加してくれる方のなかにも、普段まわりに武侠の話をする人がいないという人が何人もいますが、実際には武侠物が好きな人は結構いると思うんですよ。
 ただ幇会に参加したり、ネットでサイトやブログを作ったりあるいはそこに書き込みしたりという、表に見えてくるファンはごく一部で、見えていないファンが8割9割はいますね。
 長年の友達でもお互いに小説読んでドラマ見てるのを知らなかったということもありますから。
「柳」なんかね(武侠ファンの)印とかつけときたいぐらいですよね。
「八」なにか共通の物とか合図とか。でも武侠の物となると危ないものになりそうですね(笑)
「柳」射雕がまだ売れない時期、模索して模索していろんなところに声掛けて芸能人の人とかにも(サンプルを)送ったりしたんですよ。
 でも全然リアクションなくて、もうテレビ放映してもらうしかないよって、あきらめかけていたところでNECOさんでやってもらえることになって。
 でも正直どのくらいの人が見てもらえるのかなあと思ったんですが、始まってみたら凄いリアクションだったそうで、早々に次も天龍八部もやりたいと話が来て、
 ああ一度でも見てくれたらはまる人が多いんだって。


武侠作品を扱ってきて一番大変だったことは?
「佐」僕がやったのは神雕ぐらいなんですが、そのなかで大変だと思ったのは、スケジュールがぎりぎりのなかであらすじとかを早めに書かないといけないのに、
 字幕がないっていう状況で書かなくてはいけなかったんで、原作は1度読んでいてあと吹替えの台本が手元にあるものがあったので、それを見ながら書いたのが大変でしたね。

「柳」すいませんね(笑)
 本当にねえ、ちょっと音楽の修正とかでね予想だにしなかった事態になるんですね(苦笑)
 割と余裕を持ってスケジュールを立てているはずなのに、なんかねえ凄いことになるんですよ最後には。もう間に合わない間に合わないで。
 そうですね、やっぱり音楽のことは困っちゃいますよね。向こう(中国)は本当にいろいろ(著作権無視で)使ってきますから(苦笑)
 なんかねえ、言ってもわかってくれないんですよ。なんでダメなの、て。他で出してるけど問題なかったよ、とか言われちゃうんですよ。
 うーん、だって他の人のものじゃん、みたいな(笑)そういうところからはじまるんで結構大変だったりしたんですけど。
 天龍八部が大変で、射雕はわりと中国のものばかり使っていたんで、もし万が一なにかあっても中国国内で処理してもらえると思ったからスルーでいったんですけど、
 天龍八部は最初からターミネーターとかがんがん使ってたから、やばいなあと思って「やばいんだよ」っていっても、音楽を差し替えたマスターを頂戴といってもなんで
 差し替えなきゃいけないのかわかってくれない。
 で、説得するのに2ヶ月とかかかっちゃう。そっちで勝手にやって、とか言われちゃう。勝手にやるっていっても、なにかに音楽を差し替えないといけないから、
 それに作品としてのイメージを壊したくもないし、そっち(中国)のちゃんとしたディレクターにやってもらってくれ、ていうのに2ヶ月ぐらいずっとやってて。
 その間アフレコを止めるわけにいかないじゃないですか。だからマスターはとりあえず出来ちゃうわけですよ。
 最後の完成はしないものの途中まではどんどん進めていかないと、最後に間に合わなくなっちゃうので。
 その間ずーっと二重のお金がかかることを覚悟しつつ、もう一回遡ってやり直さないといけなくなるかもしれないから、でも進めないといけないというのが凄く辛かったですね。
 まあそういうことがあったんで神雕は勘弁してよと、全部オリジナルで使ってよって、もちろんだよ!っていう返事を何度ももらっていたのに、ハリーポッター使ってるし…。

「八」神雕の予告編でジブリの曲使ってませんでしたか(苦笑)
「柳」ブランコのシーンでしょ。ラピュタ。とかね本当にすごくて。
 で、そんなわけないよみたいな感じなんですよ、また言ったら。またハリーポッター使ってるよって言っても、そんなわけないよって(苦笑)
 いやほんとにそうだから聞いてみてって、いやそんなことないから…ていうやり取りでまた1ヶ月なんですよ。
 それでもうしょうがないから、ハリーポッターとか使っているのを見つけた曲のサントラを買って、何曲目のなにをここで何分使ってるっていうのを全部書いて、
 キューシートもどきのやつを。3話くらいまで。全部は書けないから。
 ほらねって見せてやると、じゃあどうすればいいのって。ごめんなさいじゃないんですよ(苦笑)じゃあどうすればいいのって。

「佐」なかにはけっこう巧妙に2曲別のをつなげて1曲みたいにしたのもあって(苦笑)
「柳」そうそうそう(笑)
「八」そんなところにテクニック使うなよって(苦笑)
「佐」いっぱいありましたね。ヴァン・ヘルシングがかかったりニューシネマパラダイスがあったりと。
「柳」このまえディ・アフター・トゥモロウやってて、それをみてたら、あっ神雕の曲だって(笑)
「佐」神雕の曲じゃないんですけど、逆なんですけどね(苦笑)

「柳」あとは辻褄あわせが結構大変で、神雕だと最初のほう(ストーリーを)すごく端折ってるじゃないですか。陸無双が足を折ったきっかけが(原作と)違う理由になってたり、
 最初の部分で変えてるのにもかかわらず最後の部分でそのことを言うのに原作のまんまだったりするんですよ。
 そうするとドラマとしては繋がんなくなっちゃうから、がらっと変えなきゃいけないとか、なんとなく避けるとかぼやかすとかそういう台本の作り方をすごくしなければいけなくて。
 それから年、あれから何年たったからどうだという、こっちにあわせればこっちが合わなくなっちゃうとか。そういうことが結構あって、まあ原作もそうらしいんですけども。

「八」若干ありますね。
「柳」若干あるのと、ドラマに関しては端折っているぶんが合わなくなってしまって。
 だけど、やっばりちゃんと安心して見てもらうのが一番だと思ってるし、変えることがいいとは思わないけど、でも必要悪というか仕方ないかなと思ってやってますけどね。

「八」まあ撮影自体が、あれだけスケジュールぎりぎりでやって、ここはもう最低限のシーンだけでいい、みたいな撮り方になると最後に辻褄あわせをする間もなく
 (オリジナルが)完成してしまってますからねえ。
「柳」そうなんですよ。例えば玉女心経の内功の鍛錬の時お花畑でやるでしょ。あれの時も、素っ裸でやらなきゃいけないって台詞がちゃんとあるんですよ。
 素っ裸にならなきゃ、素っ裸ですよ(笑)素っ裸ってことは素っ裸じゃないですか。でも出てる絵は素っ裸じゃないでしょ。
 そうすると、あられもない姿で、みたいな表現になるわけですよね。

「八」あれはどうしようもないと思います。あそこだったらお互いが見えなくてすむ…て。
「柳」見えてますよね(笑)そこじゃん!みたいな。
 CGもあれだけね、花びらを舞わせるんだったらもっとこう立てろと。

「八」二人の間にねえ(笑)
「柳」そこにCG使えよって(笑)イメージ画でもいいから、ちょっとここにお花が立っているとか。
「佐」(于敏)監督最初に言ってるじゃないですかねえ。
「柳」そうそう(笑)
「佐」あのブックレット(DVDBOX1に付属)の。あれもすごい意味わかんない話ばかりで。
 まず中国人の方に訳してもらったものを、僕がさらに日本語に書き直すんですけど、これどういう意味?とか意味わかんないって(中国人の人が)いって(苦笑)
 僕もわかんないから適当に出して、意味わかんないよって怒られたりして(苦笑)

「八」それは監督もわかってないんです(笑)
「佐」あれは多分監督がしゃべっているやつをただ字にしただけのものみたいだから、監督の勘違いまでそのまま出てたりするし、例えば例えばとか同じことが何度も出てきたり。
 CGもイメージコンテとかを作ってみんなで相談しながらやらなきゃだめだ、とかいってるのになんであそこ素通りしたんだろうって(苦笑)

「八」メイキングを見ると、それぞれのチームが意思疎通できていないのがわかりますね(苦笑)
「柳」そうなんですよね。まあうちとしては、もともと凄い素晴らしいドラマだから、整理整頓してあげる、最後にきれいにしてあげるというぐらいの感じの心積もりで、
 邪魔にならない程度に間違っているものは排除して、正しい道をつけてあげるという感じの気持ちでやっています。

「八」ご苦労様です(苦笑)
「柳」(笑)

「八」でも神雕はあと3ヶ月ぐらいかけてじっくり作ってほしかった気がしますね。
「柳」そうですよね。洪七公と欧陽蜂のところとかねえ。1エピソードもないくらいだものね、5分とか10分とか。
「八」早かった。
「柳」あそこで楊過はすごく強くなるのに。
「佐」そうですね。あそこは結構いい、ひとつの見せ場といっていいところなのに。だって前に射雕を見ている人なら、ここでついに二人が雌雄を決するってところじゃないですか。
「柳」ムカデも食べてないし(笑)
「八」三日三晩ってこんなにはやかったんだーって。
「柳」(台詞で)言えばいいってもんじゃないんだよって(笑)
「佐」あれに関しても監督がいってたじゃないですか。洪七公の打狗棒術を…。
「柳」そうそうそう(笑)
「佐」一生懸命やるからって、何にもやってないじゃんていう(笑)
「柳」小龍女とかのイメージカットとかが多すぎて。
「佐」そうですね、なんかいちゃついているシーンとかが長かったりして。
「柳」あと余計なシーンがあるんですよね。張家の坊ちゃんに手篭めにされそうになったところあるじゃないですか。(第7話)
 あの張家の若様は、きっと私は「裘千尺」(役の人)の弟とかなんかだと思います。すいごい似てるんだもの(笑)

※裘千尺の役をしてる方は男性です。
 裘千尺役で彼を起用するかわりに、弟を使ってくれとかいう裏取引があったんじゃないかって(笑)
「八」(笑)
「柳」すごい似てるとかいって(笑)いやぁ、あの人だけ茶髪だしちょっとしたお団子つけてるだけですごい現代的だし。
 あのシーンなんてあんなに長くいらないじゃないですか。連れて行かれそうになったけど、気がついて助かった、ぐらいのことで小龍女が危険な目にあっていることは
 すんじゃう話なのに。

「佐」全然なくていいということ(苦笑)
「柳」そうそう全然なくていいのに。
「佐」一時あれですよね「裘千尺」本人説がでてましたよね(笑)
 汚い格好で出ているから、ちゃんとした格好で映してくれって言われたんじゃないかってって説が(笑)

「柳」(笑)そうそう、最初そう思ったんですよ。お婆ちゃん役をさせられてるから、本人で映してくれっていったのかな、と思ったらあの人もともとああいう
 (裘千尺の)顔の人なんですよね。
 それから彼は碧血剣にもでてますね。

「八」ぬすっと役の。胡桂南ですね。
「柳」そう、そうです。
「八」しかしまあ、神雕はもったいないところが多いですよね。
「柳」そうですよね。普通に作ればいいだけのなのに、なんかCG使っちゃって。
「八」ロケで景観の凄いところに行っていますが、それに苦労しすぎているような(苦笑)
「柳」もうスタッフ写りこみとか超はげしくて。いちいち消したんですよ(苦笑)
「八」むこう(中国)では、そのまんま放送されて。
「柳」むこうではそのまま流れてますね。時代劇の格好で話しているバックで、普通にスタッフがキャップかぶってウインドブレーカー着て(はしごに)登ってたりするんですよ(笑)
「佐」次のシーンの仕込とかやってるんですよ(苦笑)
「八」カメラワークだと天龍八部のほうがよかったですね。
「柳」そうですね。
「八」神雕は景観とかいんだけど、なんか真横から撮っていて左右に(役者が)いて、みたいなシーンが多かったような気がします。その辺が残念な気がします。
 まあ凄い景観のところなんで、カメラ置けるところも限られたと思いますけどね(苦笑)
「柳」でしょうねえ。
「八」でもあの景観でだいぶポイントがとれますね。(絶情谷などのロケ地の)雁蕩山なんかはそれだけで見に行きたくなりますからね。簡単にはいけないけど。
「柳」中国は広いですねえ。


香港映画などは今後扱う予定は?
「柳」いいものがあったらやりたいです。ただ香港映画も最近凄く値が上がっちゃったんですよ。「インファナル・アフェア」以降。
 あれがすごい値で買われて、けっこうそれが基準になってるというか前例になってしまったので、わりかし高いんですよ。
 「SPL(殺破狼)」とかも凄い高いし、そうとうきついはずなんですよ。

「八」ドニー・イェンのは高いですか。
「柳」高いです。ドニーが入ってると高いです。
「八」じゃあ「龍虎門」なんか高そうですね。
※「龍虎門」の映画は、35年前から始まり連載が続く香港漫画が原作で、降龍十八掌などお馴染みの武功も登場する。
「柳」「龍虎門」は高いですね。あれは○○さんが買ってるんで、凄いことになってます。
 このあいだ飛行機の中で見ました。アクションはたしかに凄いですね。でも普通に見れるんだけど、あれが(日本で)大ヒットするかというと、ちょっと難しいですよね。
 少林サッカーくらい、いやカンフーハッスルくらいヒットしてくれれば、高く買っても大丈夫なんですけど。
 やっぱりSPLとか見てると単館系でそこそこのヒットってなっちゃうと難しいですね。 うちでも、いいものできるものがあればやっていきたいですね。

「佐」ここ数年けっこうかっこいい感じのが香港で多いじゃないですか、SPLとか。
「柳」名前があると高いんです。
「八」ない人のは売れにくいし。
「柳」そう。ジレンマですねえ。


もしこんな作品があったら扱ってみたいものは?
「柳」武侠で?
「八」とりあえず武侠で。
「柳」うーん、なんだろう。
 んー、やっぱり張紀中の物はきれいだから、ずっとやっていきたいなと思いますね。映像美が素晴らしいので。
 テレビドラマならあるんですけど、内緒です。

<<ヽ(´ー`)ノ書けませんwヽ(´ー`)ノ>>
「柳」本当に原作にそったものをやってみたいですね。原作のまんまみたいなのを。射雕みたいなのを。射雕は、台詞まて同じだったりしますからね。
「八」よくあれだけできたと思いますね。
「柳」あれは本当に凄いなと。
「八」しかし、日本ではここまで親父キャラファンが増えるとは思わなかったでしょうね(苦笑)
「柳」(笑)
 いや私も、こんなに親父が好きになるとは思いませんでした(笑)

「八」(笑)
「柳」だってね、キュートですよね、みんな。あんなおっさんなのに。
「八」あれだけ(キュートな親父をw)よく集めたなって。
「柳」うん。やっぱり射雕の凄いところは、すごくいい大スターがあれだけ集まっているっていうところなんですよね。洪七公もそうだし、みんな凄いじゃないですか。
 梅超風も凄いし。役者がもうとにかくすごいです。

「八」射雕で原作と違うといえば梅超風の扱いが違うんですけども、それ(張紀中版)以降にも影響が強く伝わっているのが凄いですね。
「柳」そう、新しい(現在撮影中)のでもそうですよね。
「八」でも出てくるときにテーマ曲が流れる梅超風は、もうないかもしれないな(笑)
「柳」(笑)インパクトありますよね。あれがただの(原作のような)老婆で、それこそ裘千尺みたいな(苦笑)だったら、ちょっとねえ。
「佐」それはそれで面白いかもしれませんけど(笑)
「八」(張紀中版)射雕のキャストは本当にいいんですが、新しい方今撮影している方のが楊康だけはいい気がしますね(苦笑)
「柳」いいですね、私もそう思いました(笑)
 あれだったら黄暁明が子供でも大丈夫みたいな(笑)

「八」中国では名優ということでいいんだと思いますが。
「柳」そうですね。あの人は演技とかはバッチリですね。あんなに小憎らしくやってもらえれば、最高ですよね。
「八」設定上あきらかに美男子とされていることからすると、ちょっと違う…。
「柳」違いますよね。まあ悪くはないんだけど…良くもないですね(笑)
「八」射雕で言われる難点のひとつですね(苦笑)
「柳」李亞鵬は完璧ですよね。ね、李亞鵬本当に凄かった。
「佐」他のに出てもきっとバカなんだろうって思っちゃうくらいに(笑)
「八」なんというかバカの演技では超えるものはないんじゃないかと。内面から出てくるような(笑)
「柳」あの、こういう感じの(首筋をかいてる)(笑)
 新しい郭靖は、ちょっと細すぎますね、線がね。黄蓉も、どっかに普通にいる感じで。綺麗っていう感じじゃなくて。
 みんな若いですね。まあ原作にはあってるわけですが。

「八」16、7ぐらいですからね。
「柳」張紀中版の射雕を見てしまうと、ちょっと物足りないですね。
 あの、徐錦江もどうなのって気もしますよね(笑)たしかにギラギラ度合いではいいのかもしれないけど。
 やっぱり古谷一行似の欧陽鋒じゃないと(笑)

「八」(笑)
 でもとりあえず(徐錦江も)迫力のある顔なのは間違いないので、ギャグもできるし、まあギャグしすぎもこまりますけど。
「柳」そうそう。
「八」(張紀中版)射雕では、それとなくギャグキャラにされていた欧陽鋒というところがよかったと思うので。
「柳」ねえ。クッキングパパですよね(笑)
「八」洪七公も原作とイメージが違うという人は多いと思うのですが。
「柳」あ、そうですね。私も原作を読んだときは、ふとったおじさんだと思っていたから。でもすごいいいんですよね。孫海英。
※孫海英 張紀中版射雕の洪七公役。李萍役の呂麗萍とは実際の夫婦。
「八」見ていたら、ああ洪七公はこんな感じかもって。気のいい爺さんだろうと、そういう感じはいいですね。
「柳」もう(洪七公は)あれ以外考えられなくなって。
「八」新しいほうは、まだあっているのかどうかわからないですね。
「柳」そうですね。新しい洪七公はよくいる中年の人って感じですよね。並べたときに個性がどうかなって。すごい特徴があるじゃないですか、うちのだした張紀中版のほうは。
 東西南北が。

「佐」すごいですよね(笑)
「柳」すごいよね、もう後姿でわかっちゃう感じでしょ(笑)
 でも新版はちょっとね。でもみんなそこそこハンサムだし。
「八」新しいほうの洪七公は、風雲で無名やってた孫興ですね。
「柳」え、そうなんですか。ひょうたんを持った写真は見たんですけど気がつきませんでした。よくみてみよう。
「八」だから演技とかは問題ないとおもうんですが、前のインパクトがあるんで見る側が洪七公として馴染めるかどうか。欧陽鋒とかもそうですけど。
 黄薬師も(張紀中版)射雕から神雕で変わったときに、イメージがちがうと思った人がいるでしょうし。
「柳」そうですよね。
「八」まあやってる人が、もう大家(于承恵)なんで黄薬師の貫禄とかは問題ないんだけど、射雕をみて射雕の黄薬師が好きだった人がみるとちょっと違うかもしれない。
「柳」まあ想像すると、年をとってヒゲが白くなっただけ、見たいにもとれるから、まああの変わり方は許せる範囲かなという気がします。
 ただ今回(神雕)の洪七公の役者さんは、前とは似ても似つかないのでちょっとおしいなあと思いますね。

「八」もとからあの短いシーンしか使わない気だったんじゃないかとか思いますね(苦笑)
 逆に長いシーンで出てきたら、こいつは洪七公じゃないとか言われてたかもしれないですね。
「柳」うんうん。でもあんだけ短いのなら1日で撮れそうだから、孫海英にやってもらえばよかったのに(苦笑)
「八」張紀中のシリーズでいつも出てくる役者さんに、次も出てきてほしいというファンは多いと思います。例えばジェベとか鳩摩智とか金輪をやってる巴音とかね。
 碧血剣や鹿鼎記ではでていない?
「柳」出てますよ、碧血剣。ドルゴンで。
「八」鹿鼎記にはでてなかったように思いますが。
「柳」鹿鼎記はでてないかもしれない。
「八」珍しくでてないなあと思ってたら、新版の射雕に出てるんですね。テムジン役で。
「柳」そうそう、テムジン役。
〜碧血剣資料拝見〜
「柳」もっとかっこいい人にやってほしかった…。(金蛇郎君)
 (資料を見ながら)常連の人、この人は趙志敬役ですね。鹿清篤に王処一…。

「佐」この人も常連ですね(笑)(孟伯飛役の張紀中を指差す)
「八」今回(碧血剣)はワイヤーまで使ってるという(苦笑)
「柳」本当!?(笑)
「八」机ぶち抜いてみたり。
「佐」一回やってみたかったんでしょうね(笑)
「柳」この子(袁承志役の竇智孔)は最初見たときはえーって思ったけど、袁承志としてはいいかもしれない。真面目そうだし。
「佐」虚竹(笑)(碧血剣では崇禎帝の高虎)
「八」虚竹のときはまだつるつるだったからよかったんですが。
「柳」この人まだ若いのによく年の役とかやらされているじゃないですか。あの、雪山飛狐でもお爺ちゃんの役(平阿四役)なんですけど。
「八」まだ(碧血剣の崇禎)皇帝役は合うんだけど、みんなクドゥ役は厳しかったっていいますね(苦笑)
「柳」クドゥねえ。コスプレみたいでしたよね(苦笑)
「八」(丐幇に紛れ込んだ時の)何師我の時が一番似合ってた気がします(笑)
「柳」(笑)そうですね。(神雕では)丐幇のほうが似合ってましたね。
「佐」老頑童の人もまだそんなに年じゃないんですよね。
「柳」うん。そうですね、五十前ですね。
「八」碧血剣はけっこういいんじゃないですかね。
「柳」多分余計なCGを使っていないのが逆にいいかな、と思います。古きよき感じで。多分映像はまた綺麗なんで、これ結構いいかもしれないと思ってるんですけど。
 あれ、オランウータンでしたっけ。でてきますよね、あれがどうなってるか超怖いんですけど(苦笑)

「八」あれはどうですかねえ(苦笑)
「柳」着ぐるみかなあ。着ぐるみのほうがまだいいかも。
「八」それかオランウータンじゃなくて、ちいさなサルにして(金蛇郎君の)洞窟を見つけるだけの出番にするとかね。
「柳」動物は、あとは蛇くらいですね。金蛇ですよね。
「佐」蛇はCGなんじゃないですかね。
「柳」蛇はね、CGうまいから問題ないから。
「八」神雕で楊過が川に流されて、蛇が上を通ってまたどっかに移動して(苦笑)
「柳」そうそう。流されてる間に干上がったっだ(笑)どんだけ流さてれたんだって(笑)
「佐」人間のほうが干上がってるんじゃないかって(苦笑)
「八」まあ小龍女もどこから飛び込んだら、絶情谷までながれつくのかわかりませんから。位置関係がわかんないですね。
 ラストなんかね、絶情谷から襄陽がどんだけ近いんだって思いました(苦笑)
「柳」ほんとほんと、あれさっき(絶情谷)にいたよねって(笑)
「佐」戦争してる音とか(絶情谷まで)聞こえてそうですよね(笑)
「八」間をあけてるならまだしも、交互に両方が出てきて次のシーンで襄陽に登場ってなるとね。
「佐」あれは雕兄がすごいがんばって飛んできてくれたんですよ(笑)
「柳」ひとっとびだったのかな(笑)
「八」そのために空を飛べるように設定かえたんですよ(笑)
 もともと鷲のようでそうでない怪物というふうに金庸先生も考えていたわけだから、変なのは別にかまわないのですが、飛べないという設定までかえたのはちょっとねえ。
「柳」楊過まで飛んじゃってるしね(苦笑)
「八」玄鐵剣も本来でかくないはずなんですよ。
「柳」あ、そうなんですか?
「八」原作では、見た目は黒いけど普通の剣と大差ないけど、持ってみると凄く重いという。玄鐵製だから重いんだって。ドラマだとでかい鉄板になってますけど。
「佐」あれなんかゲームっぽいですよね。ファイナルファンタジーとかやって、あこれって感じになったんじゃないかなと思いますよね。
「八」玄鐵製だから実は重いんだ、と設定ではあっても見た目では伝わりにくいので、でかい剣を軽々と振るっているのを見せるほうが(視覚的には)わかりやすいですね。
 映像で見せるのもまた大変だなあと思います。


古い作品を発売する可能性はありますか?
「柳」あ、私そうですよ「風雲 ストームライダーズ」で目覚めたんです、武侠に。
「八」けっこう多いんじゃないですかね。映像から入ってる人は多分あれでしょう。香港映画でああいうアクションのがあるって。
「柳」私ねえ、劇場に3回くらい見に行っちゃったんですよ。その当時気に入っちゃって。その度に友達つれて。布教しようと思って。
 そっからですね、個人的には。

「八」原作(漫画)とは違うことが多いものの、あの映画が入ってきたことは大きいですね。続けてイーキンの出てる中華英雄が来て。
「柳」そう、次が中華英雄でしたね。
「八」あれもかなり無茶苦茶なとこがありましたけど、つっこむのにはちょうどよくて(笑)
「柳」(笑)
 スー・チーがへんな日本人役でしたね。あの頃は続けざまにそいううのが出たんでよかったですね。
 それでうち「拳神」を買ったんですよ。同じような話かなと思って。そしたらばりばりSFのスター・ウォーズみたいな話でした。

※拳神 製作時からいろいろとあったゲームが原作の作品だが、サモハンの若い頃の役がイーキンというありえない年月の経過や、顔がパンパンなユン・ピョウが忘れられない。
「八」古いドラマとか映画とかを出すということはありますか?
「柳」可能性はあります。ただ古いのだとクオリティの問題があって、人間っていいのに慣れちゃうと古いのはちょっと見辛いじゃないですか。それこそよっぽど売りがないと。
「八」ストーリーや演技はいいけれど、画像としての見た目がね。
「柳」そうなんです。
 そういうものは凄く安く買って、簡素なパッケージにしてなるべく制作費もかけず、そして値段も安くしてセル版だけで商売するみたいな可能だと思うんですよね。

「八」例えば中国で一番人気のある83年版の射雕とか、あの時代のドラマなどを出してほしい人もいると思いますが。
「柳」そうでしょうね。問題は字幕の制作費がね。そこを稼がないといけないんで。今の1/3くらいの値段で権利が買えて、なおかつ字幕もちょっと安いところにお願いして。
 そうすると字幕としてのクオリティも悪くなるんですけど。
 そこらへんを我慢してもらえるのであれば、出せないことはないです。
 でも逆にお聞きしたいのは、ついていればいいやくらいの字幕ではいやでしょ? ひどいと誤字脱字とかタイミングが全然合ってないとかでてくるし。

「八」武侠だったら武侠らしいいいまわしとか、言葉とかを使ってくれないとね。
 まあそのドラマ単体をはじめて見る人ならともかく、原作を読んでるとかこだわりのある人が見るとなると文句が出るかもしれないですね。
「柳」そうなんです。安いところに頼むと結局そういう問題が持ち上がってきて。
「八」新作とかだと期待も高くなりますが、旧作だと(ほしい人も)限られてくるのでとりあえず字幕がついてるだけでもほしい人はいると思います。
「柳」1月からの(チャンネルNECOでの)神雕のオンエアで、ある程度日本における武侠ドラマのポジションが決まると思うんですよ。
 これで全然変わらなかったら、ちょっときついなと思ってるんです。
 ちょうど神雕はキャッチーだし、ドラマの出来不出来はあるけど、とりあえず万人にアピールするものじゃないですか。
 だからこの機会に武侠が人気がでてくれれば、いろいろ昔のものの出せる機会ができるでしょうね。
 ここで人気にならないと、今のまんま横ばいだと、ちょっと厳しい。
 売り方を考えるってのもあるんですけどね。予約制にしてしちゃって、これを今度買い付けようと思うけど、何人集まったら商品化します、
 ていって投票みたいにしてもらって予約してもらって、ある程度人数いったらじゃあ作りますよっていって作ると、そういうのもあるんですけどね。
 でもそれだとお客さんに負担でしょ。その時はほしいと思って手をあげたとしても、出来上がった頃にお金がなくなっちゃってたという人もいるかもしれないし。

「八」やっぱりもうすこし武侠が広まってほしいですね。
「柳」だから1月からのオンエアにすごい期待してるんです。
 北京オリンピックも翌年にひかえているわけだし、そこで人気がわーって出てくれたら、うちはTVBと付き合いありますし古いのとかも一挙に出したりできる可能性もある。
 まあ映画とかと違いドラマなどのシリーズものだと、制作費が何倍どころか10倍とかかかるのでそこら辺がネックですよね。単品だと安いから、制作費もね。

「八」また宣伝しないといけませんね(笑)
「柳」お願いします(笑)私たちもがんばりますので。
「八」今日はありがとうございました。
「柳」こちらこそありがとうございました。

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